5月は「粽の思い出」→ 
おたべを発売してから、今年で40年になります。
そうです!おたべちゃんの生まれる随分前になりますね!
その年、おたべちゃんのお父さんは、生八つ橋につぶ餡を包んで、「おたべ」と言う名前で売る事に決めましたが、パッケージも包装紙も決まっていませんでした。
早春の頃だったと思います。当時、漫画家として活躍されていた、今は亡きおおば比呂司さんに、「パッケージのデザイン」をお願いしに自宅まで行ったそうです。幸い心よく引き受けてくださり、それからおおば先生のご家族と、今も御つき合いが続いています。
そんな長いおつきあいの中で、よくご一家で京都にも来て頂きました。いつだったでしょうか?京都へ来て頂いた時は、桜が散った後でした。京都の奥、花背にある常照皇寺の九重の桜なら今時分満開だろうと思い、お食事は花背にある、摘草料理で有名な「美山荘」に行く事になりました。美山荘に行くにはいつもなら、鴨川に沿って北へ、そして上賀茂、鞍馬を通って行くのですが、この時は、紅葉で有名な高雄から、北山杉の中川、8月24日に松上げの行事をする広河原から常照皇寺に行きました。それはそれは見事な「九重の桜」でした。

おおば比呂司先生作
おたべの箱のイラスト

筍とわかめのであいもん若竹煮
程よくお腹のすいた頃に、美山荘に着きました。美山荘は代々、峰定寺の宿坊だったのですが、三代目さんが摘草料理を始められ、料理の素材や、凝った器等、いつも心のこもったお料理ですが、あの時の「筍といたどり」の煮物の味は今もはっきり憶えています。我が家ではとても、あれほど分厚く筍を切れませんが、なぜか素材をいかしながら、あの分厚く切られた筍に味がしみているのです。そして筍のであいもんは、いつもなら「わかめ」なのですが、
この時はいたどりでした。いたどりは、桜の花の終わるころ、おまたせしましたとばかりに、20センチ位のアスパラのようなものから、一メートル程になるそうです。ただとても酸味がきついので、湯をかけて一昼夜つけるそうです。
おおば先生が、京都の桜の終わる頃に来ていただいたお蔭で、常照皇寺の「九重の桜」も楽しめましたし、いままで知らなかった「いたどり」も賞味することが出来ました。
これも、先生との出会いがあり、いろんなものや、おいしいものの出会いが、いかに大切な事か、改めて思いました。おたべを売り出して40年、初心に戻る事が大事だと思いますが、ホームページも5年目に入りました。もう一度見直して、やっていきたいと思います。

美山荘 京都市中心地から約40km。洛北の山里・花脊の大悲山峰定寺の門前にある、料理旅館。
山野草を主に、川魚など山と川の天然素材を調理した摘菜料理が有名。
「いたどり」 春の野菜。シュウ酸が含まれていて酸味があるので、皮をむき熱湯の中に入れて冷めるまで待ち、酸味が殆ど無くなったところで料理をする。水にさらして煮たり炒めたりして食べる。夏には背丈ほどにもに生長し夏の終わりに白い花が咲く。
「であいもん」 出会いもの。出会いによってお互いの味を引き立て、栄養のバランスも彩りも良い、昔からの美味しい組み合わせ。
筍とわかめ、身欠きニシンとなす、いかと小芋、棒たらと海老芋、揚げ豆腐と水菜、ぶりと大根・・・など。
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