11月は「丹波栗と栗御飯」→
昔から「暑いも寒いも彼岸まで」と言われますが、本当に涼しくなりました。
今年の八月の暑さは本当に以上でしたが、秋の気配を感じると、やっぱり松茸が気になります。
先日、寺町三条にある「とり市」さんへ行ってみました。顔なじみのいつものおじさんは、私の顔を見るなり、「今年はほんまに暑かったで、送らはる分はまだでんなー」と言われてしまいました。毎年、わが社では、とり市さんの松茸を東京のお客様に送るのが、恒例になっています。その時に、私が作ったいろいろな松茸料理をのせた「栞」も一緒に送っています。
松茸ご飯を作ろうと思い、買いにいきましたが、この日は信州のものを買ってかえりました。
最近は、九月頃から、韓国や中国産の松茸がでまわっています。さすが老舗のとり市さんでは、京都の丹波産のものを主に扱っています。そのなかの一つの周山の松茸は「都松茸の一つ」と言われ、鎌倉や、室町時代の公家や貴族が珍重していたそうです。京都府産の松茸の収穫量は、昭和16年をピークに年々、信じられないほどに減っているそうです。
私が小学生の頃、(昭和20年代の後半)松茸のすき焼きがよく食卓にのぼりました。松茸の時期の終わりには、母は笠の大きく開い松茸を細かく刻んで、大鍋一杯の松茸いり塩昆布を炊いていました。この塩昆布でお茶漬けをすると、過ぎ行く秋を子供心に思っていたものです。なぜか、おたべちゃんも、私の炊く山椒とじゃこ入りの塩昆布でお茶漬けをするのが大好きです。

松茸でにぎわうとり市さんの店頭
今度は送る松茸を見に、再びとり市さんに行きました。ところがいつも店先にいるおじさんの姿がみあたりません。どうしゃはったんやろと思ったら、店の奥で隠れるようにすわっていました。
「見とくりゃす!このとおりしなもんがあらしませんのや、そいでお客さんがきはったら隠れていますのや!」と言われました。不作の原因の一つになっている異常気象は、多くの原因で起こってきています。とり市のおじさんは、それをまるで自分の責任のようにお客さんに申しわけなさそうに言い訳しているのに感動しました。その日は東京に松茸を送ることができませんでした。

 「とり市老舗」
  四季にあわせて旬な食材を扱う京野菜専門店。京漬物の老舗としても有名です。
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